Interview インタビュー

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リサーチャー インタビュー

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株式会社インテージ
赤松みづきさん
Ms Mizuki Akamatsu

埼玉県大宮出身。早稲田大学では社会学を専攻する。
株式会社インテージに新卒入社し、リサーチシステム開発や、国内化粧品・雑貨業界リサーチを担当する。
国内での仕事が落ち着いたタイミングがちょうど20代最後であったことから、今後のキャリア形成において大きな武器を持ちたいと一旦インテージを退職。フィリピンでの地域経済開発活動や、JETROアジア経済研究所開発スクールで途上国開発学を学んだ後に、インテージに再入社。
現在はシニアアナリストとして、海外(主に東アジア・東南アジア)飲料・食品業界リサーチ担当(国内メーカーの海外事業サポート)に従事する

リサーチャーの仕事は、具体的にどのようなものですか

マーケティングリサーチの中にはさまざまな手法や対象がありますが、私が現在担当しているアドホックリサーチは、このような流れで行われます。

1 クライアントから現在持っているマーケティング上の課題を伺う
2 その課題を解決するための調査を設計し、クライアントに提案する
3 調査を実施する
4 調査データを集計する
5 調査データを分析する
6 分析結果を報告書にまとめ、クライアントに伝える
そして
7 新たな課題が見えれば、それを元に次の調査を企画・提案する

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リサーチャーに英語力は必要ですか

英語力を必要としないリサーチャーもいますが、海外担当の場合、英語力は必須と言えます。
調査を現地で実施するためには、現地法人や協力会社に調査運営を依頼することになります。調査の仕様や細かい手順を相談・指示したり、調査設計に役立てるために現地市場の情報をヒアリングしたりする必要があるので、そうした業務がスムーズに行えるだけの英語力が求められます。出張の際には、クライアントと現地スタッフのコミュニケーションをお手伝いしたりもします。
そして、何よりも大切なのは、現地スタッフと信頼関係を作ることです。共に良い仕事をするための仲間だと彼らに思ってもらうことは、グローバルリサーチャーが調査を成功させるためのカギだと思っています。それは通訳を介したコミュニケーションではなかなか難しいことなので、英語で人間関係を構築する力は必要だと思います。

その英語力をどのように身につけ、維持していますか

大学受験のために単語や文法を勉強したことが、実は一番のベースとなっているかもしれません。社会人になり、市場の伸びの予測推計などから、海外市場の可能性の大きさを意識するようになってからは、やはりいずれは海外の仕事をしたいと思うようになり、TOEICやIELTSといった、英語の資格試験を取るための座学をコツコツやりました。
私がいったんインテージを退社して入学したアジア経済研究所では、アジア・アフリカ各国の途上国から派遣されてきている若手行政官たちと共に学びました。入学時点でTOEIC900点以上取得していましたが、筆記能力と比べて圧倒的にアウトプットの経験がなかったため、始めはそれなりに苦労しました。でも、そこで学んだ一年間で、話す、書くといったアウトプットの力を身につけられたと思います。
とはいえ、大人になってから学び始めた英語なので、今でも日々苦労しています。仕事のやりとりの中で、毎日試行錯誤しながら、表現の正確性を高めたり、バリエーションを増やすための努力を続けています。

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英語力のほかに、リサーチャーに求められる資質・適性を教えてください

第一に、地味で地道な仕事をする粘り強さです。
リサーチャーの仕事の中で、クライアントの課題を聞いたり、ディスカッションや報告会をしたりというような、華やかな部分はほんの一部です。それよりも、小数点以下の細かい数字にこだわってPCの前でデータと格闘している時間の方がずっと多いのが現実です。
第二に、社会に対して広くアンテナを張れることです。
例えばある夏にある飲料商品の売れ行きがとても良かった、という事象の原因を知りたいとします。それはリニューアルしたパッケージが魅力的だったからかもしれません。しかしあるいは猛暑だったからかもしれないし、誰か有名人がブログで紹介したからかもしれません。同じカテゴリの別の商品が大ヒットしたことに影響されたという可能性もあります。このように、ありとあらゆる可能性を考える必要があるからです。
第三に、いろいろな専門性を持つたくさんの人たちとコミュニケーションを取る力です。
ひとつの調査が自分ひとりの力で完結することはありません。調査対象者をリクルートする人、実際にインタビューをする人、不正なデータを見つけてクリーニングする人、調査員を現場で監督する人などなど、たくさんの人たちが集まって、ひとつの調査ができているのです。そのどこかでコミュニケーションがうまくいかなくなれば、有用で価値のあるデータを作り上げることはできなくなってしまいます。
私の場合、アジア経済研究所で英語のネイティブではない同級生たちが、どのように英語で心を伝えているか、その技量やふるまい方を学べたことは、大きな財産になっています。他言語を母国語とする人たちと仕事をするうえでのコミュニケーションスキルに、あの経験がいかされていると感じます。

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今のお仕事のやりがいはどのようなものですか

私は現在、主に東南アジアを担当しています。国も市場も日々めまぐるしく変化している場所です。日本の企業にとって、異国であるうえに激しく変化する消費者について理解することは、本当に難しいことです。しかし、それでもそうした国々の市場でチャレンジしていこうとする企業に併走し、お手伝いできることは、未知の部分も困難も多いからこそとてもわくわくします。
また、これから伸びようとする前向きで大きなエネルギーを持っている国の人々と触れ合えるというのは、大変刺激的です。一緒に仕事をするたびに、私は彼らからパワーをもらって元気になれる気がしています。

今のお仕事の苦労する点を教えてください

海外担当として一番苦労するのは、やはり言葉の問題です。例えば、「のどごし」「コク」といったような、日本語で思い浮かべるような事柄について消費者の意見を集めたいとき、まずそれを英語にして現地に伝え、さらには現地語に変換する必要があります。現地スタッフから「そんな概念は私たちの言葉にない」と言われてしまうことも多々あり、調査したいことを現地の言葉や文化に落とし込む過程はとても大変です。
日本人特有の「きちんとさ」と、現地での文化や仕事の仕方とのすり合せも苦労の多いところです。時間の正確さを例にとっても、日本のように1分単位の正確さで集合時間に調査対象者が集まるなどということはまずありえません。国によっては電気や通信回線、移動手段のようなインフラがストップすることも頻繁に起こるので、調査の日程を組む時には、そうした点も考慮にいれなければなりません。
文化の違いでいえば、宗教による休日の違いやお祈りの時間、ハラルなどへの配慮なども必要です。

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今後の目標を教えてください

自社の事業に対して、お客様の課題に対して、常に結果を出せるビジネスパーソンでありたいと思っています。そこにこだわることが、自身をよい状態に保つためのワークライフバランス維持や、英語力や専門知識の向上へのモチベーションにつながっていくと思います。そうして自分を高めながら、日本企業の海外市場進出をサポートすることで、国内市場が縮小していく中でも日本経済が縮小しないよう貢献していきたいと思います。
また、新興国市場の消費者がより成熟していく過程をサポートすることで、それらの国々の経済発展、ひいては貧困削減の一助になればと思っています。

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リサーチャーを目指す若者へ、メッセージをください

地味な仕事ですし、目立たない小さな業界です(笑)。しかし身の回りにあるあらゆる商品は、マーケティングリサーチの過程を経て世に出ています。リサーチャーというのは、誰にも気づかれなくても、誰もの役に立つ仕事だと思っています。また、専門性が高く、男女の差なく活躍できる職種でもあります。縁の下の力持ちタイプの方には、ぜひチャレンジしてみていただきたいです!

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