Interview インタビュー

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アメリカ大使館職員インタビュー

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在京米国大使館経済部通商政策課アナリスト
土谷ふみさん
Ms Fumi Tsuchiya

神奈川県横浜市出身。子供時代に4年間、アメリカ・ニューヨーク州での生活経験を持つ。
慶応義塾大学法学部法律学科卒。
保持資格:実用英語検定1級、TOEIC・CASEC990点、サイマル・インターナショナルAクラス通訳者

現在の仕事内容を教えてください

在京米国大使館経済部通商政策課でアナリストをしています。アナリストといっても、実際にオフィスの中にいて政策の分析をするのは半分くらいで、日本に米国政府関係の方が来日した時の訪日スケジュールを組み立てたりアポ取りをしたり、あるいは大使館主宰のパーティやレセプションのお手伝いをしたり、といった業務も必要に応じて行なっています。
日本のニュースをそのまま英語に翻訳しても、外国人にはそこに至る経緯や、政治・経済的な意図、未来への影響など、わからないことがたくさんあります。日本人として、そうした点を説明するのが分析の大事な要素なので、とにかく新聞やニュースはもれなくチェックし、政治・経済の動向に敏感でいるよう心掛ける必要があります。
パーティーやレセプションは、経済部がかかわるものは月2~3回ですが、文化交流などを含めると週の半分以上は何かしらのレセプションがあります。
現在は、総務部金融リスク管理課に所属し、金融の観点から、組織全体が業務の過程でさらされている、様々な金融リスクの識別の測定やモニタリングをしています。また、国際機関との意見交換を通じ、金融リスク管理の業務の質の改善にも取り組んでいます。

アメリカ大使館職員になるまでの道のりはどのようなものでしたか

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大学卒業後に第一勧業銀行(現みずほファイナンシャルグループ)に就職しました。当時あった「語学特定職採用」という職種で、勤務地限定総合職のような職種でした。
第一勧銀には3年間いたのですが、そこで自分の英語力のなさを痛感し、通訳養成・派遣機関であるサイマルアカデミーの通訳養成コースに入学しました。その時の先生がアメリカ大使館の方だったので、大使館業務に興味を持つようになったのです。
私自身、大学時代のゼミのテーマが日米貿易摩擦だったので、アメリカの通商政策にもともと興味があったということもあり、英字新聞のジャパンタイムズで募集広告をチェックして応募し、採用されました。実際には秘書のポジションに応募したのですが一度落とされてしまい、再度アナリストのポジションで応募し、やっと採用されることになりました。

大使館職員の仕事にはどのくらい英語力が必要ですか

もとめられる英語力は業務によってかなりばらつきがあり、アメリカの大学院を出た方もいれば、海外に住んだことのない方もいる、といった感じです。
日本の業者さんとの窓口になるようなポジションであれば、英語力以上に日本語でビジネスを遂行する力や人脈が重視されるので、なかには英検2級程度の英語力という人もいるようです。
私のポジションの場合は、日本の新聞の記事を読み、こういうことが今日本で起きているとか、問題になっているということを、アメリカ人の英語ネイティブに説明できる英語力があれば充分だと思います。それ以上に、日本のニュースを正しく分析できる理解力が重要ですね。

土谷さんは英検1級、TOEICも満点ですが、その英語力はどのように習得し維持しているのですか

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発音やヒアリング力などは、子供の頃にアメリカで生活した経験が多少は生きていると思います。とはいえ、私が大使館で働き始めた当初の英語力は、まったく仕事で使えるレベルではありませんでしたね。
日々の業務をしていても、私が書いた文章を日系アメリカ人の上司に徹底的に直され、また書き直すということの繰り返しでした。当時は本当に大変で、一時は英語の文章が全く書けなくなるくらい自信を無くし、精神的に追い詰められたくらいです。
でも、自分でササッと手直ししたほうが楽なはずなのに、わざわざ時間を取って指導してくれたのは、上司の優しさだったのだと思いますし、今となっては厳しくチェックして頂いたことを心から感謝しています。
また通訳学校での勉強もとても役にたちました。私は大人として海外で生活した経験がないので、大人のネイティブスピーカーが話す自然な英語を身につけたくて、ニュースや海外ドラマなどを時間がある時には家でつけっぱなしにして、セリフを暗記するくらいまで聞いていました。

アメリカ大使館職員のお仕事に、英語力以外に大切な能力、資格、適性はありますか?

大使館職員の仕事は人と人を結びつけることなので、知らない人たちの輪の中にも飛びこんでいけるような積極性がある人は、やはり強いと思います。逆に、日本人の輪の中に入れないでいるアメリカ人がいたら、気が付いて引き入れることができる目配り、気配りも大切です。
また、現地(日本)に長く暮らしている日本人としての判断を期待されている場面も多々あるので、必要であれば臆せずに自分の意見を言えるようになること。私自身はここがとても苦手な分野なので、自分の弱点だと意識して克服できるよう努力中です。
業務に直接かかわることだけでなく、日本の会社では上司が部下の面倒を見ることがある程度習慣化されていますが、ここでは何も言わなければ「万事OK」と判断されて、上司には完全に放っておかれます。もちろん、アドバイスやサポートを求めれば快く応じてもらえますが、相手からの声掛けを待っている姿勢は通用しません。コミュニケーション力の高さはとても重要です。

仕事のやりがいと苦労する点を教えてください

やりがいは、この仕事をしていなかったら絶対に会えなかった方達とお会いできることです。また日本の会社のような年功序列や男女の区別がなく、いろいろな仕事に挑戦できること。サービス残業のような日本的な慣行がないのが、職場として大きな魅力です。
苦労する点は、主に日本の企業と大使館側の円滑なコミュニケーションのための仲介です。アメリカと日本でのビジネスの進め方の違いは当然あり、そこを最初にきちんと説明しておかないと、双方でどんどん誤解やフラストレーションがたまってしまうものです。
ヒアリングひとつにしても、日本企業は適切な部署の担当者を窓口にすることを重要視しますが、アメリカ人は「経営者なら全て知っているはず。とにかく社長を呼んでくれないか」となる傾向があります。ビジネス文化の違いは説明すれば必ずうまくいくというわけでなく、逆に私たち日本人スタッフが板ばさみになってしまったり、ということもあります。

アメリカ大使館や在日外国大使館職員を目指している人へ、メッセージを下さい

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求人に応募する際など、語学の壁を感じる方も多いようですが、実際には語学力よりも積極性やキャラクターを見て採用を判断してくれていることが多いように感じます。
他の国の大使館事情を詳しく知っているわけではありませんが、基本的に大使館勤務は定時がきまっており、長時間労働ではなく家庭の事情も考慮してもらえます。職員ものびのびとしているし、女性にとっても長く働きやすい職場だと思います。
違う文化や言語の中で育ってきた人達とチームを組んでの仕事になるので、違いは多々ありますが、それをストレスと感じず、楽しめるような方に是非大使館に来ていただきたいです。

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